第6章 ひみつの暗号
まもなく夜11時。
僕はリモコンを手に
いつものチャンネルに合わせる。
もう何年も繰り返す僕の習慣。
週の始まり、月曜日。
こんな仕事をしていると
曜日感覚なんて、
いたく簡単に狂うけど…。
月曜日の習慣が付いてから
それほど狂わなくなった…かな?
11時。
僕のテレビの画面を
鮮やかな黄緑が塗りつぶす。
この色、いい色だなぁって
いつも思う。
引きの画からキャスターそれぞれが
クローズアップ。
君が映る。
うん、今日もイケめてるよ。
そして…
いつものようにチェックする。
今日のネクタイは…。
なるほどね。
うん、りょーかい。
彼が付けるネクタイ。
それは二人の暗号。
放送中、何気ないしぐさでくれる
メッセージ。
うん、僕もだよ。
心の中で答える。
「以上、イチメンでした」
いつもの台詞で終わるコーナー。
ふふふ、
ちょっとほっとした顔してるね。
でも気は抜けないよね?
だって…
いつコメント求められるか
わからないもんね?
スポーツコーナー。
やっぱりサッカーの話題、
好きだよね?
嬉しそうだもん。
嵐の曲名が入ってくることが多いから
僕もつい集中してみちゃうよ。
最後まで真剣な顔の君。
報道だからと
いつもの笑顔を封印してるその顔、
すごく…好きだよ。
エンディングが終わったら
すぐにメールするんだ。
君からの暗号への返信もね?