第17章 Afterward 〜ネコとくま〜
「もうすぐマネ到着するって」
「じゃ、行かなきゃ」
「うん」
ホントは離れたくないけど…
翔くんも喜んでくれた個展。
どうしても成功させたいけら…。
シートベルトを外し、外に出た。
翔くんがトランクからスーツケースを
持ってきてくれる。
受け取るときに重なる手。
僕はそのまま翔くんの唇に口づけた。
驚いた顔の翔くん。
「翔くん、ごめんね。
明日のZERO、見れないね」
「メールが来ないのは寂しいね。
でも俺は大丈夫だよ?
そう言えばうちのスタッフ、
同行するでしょ?」
「うん、取材、入ってるよ」
「じゃ、俺はいずれ上海の智くんを
見れるんだね。いつもの逆だ」
「逆…なのかな?」
「上海、時差は1時間だから…。
あっ、そうだ、これ」
そういって翔くんが封筒を差し出した。
「向こうで開けて」
「わかった」
「ほら、もう行かなくちゃ」
「うん、行ってくるね」
「いってらっしゃい」
もう一度、キスしてから
僕は翔くんに背を向けた。
行ってきます、すぐ帰ってくるから
待っててね。
心に愛しい人を浮かべながら…
僕は旅立った。
<End>