第6章 堕とされた恋心
「を信じてやれよ、あいつの心にはお前しかいないんだぞ。光秀がいなくなったと聞いた時のの顔__
あんな切なそうな女の顔をするは初めて見た」
が?
「光秀……を幸せに出来ないなら別れろ」
「秀吉が指図する問題ではなかろう
これは俺との問題だ」
「俺は兄としての幸せを願っている」
「……考えておく」
「光秀!!」
秀吉の怒鳴り声を背中で聞きながら俺は歩きだした。
「ふむ……」
恋心とは厄介なものだな
いや、俺の性格が厄介なのか?
人を疑うことには長けてはいるが、信じるということに関してはかなり劣っていると自覚をしている。
の気持ちが信じられないのか__
問うと言葉は信じる事が出来ない
だから、躰で縛り付けようとした俺
しかし、それは間違いだと分かった
俺の無事な姿を見て安堵の涙を流したの顔が脳裏をよぎる
なら
違うな
だけは信じられる
いや、信じたい
しかし、それを秀吉に諭されるとは不愉快なのだが……
一応、あのお節介焼きに感謝はしておいてやるか