第5章 あなたに堕ちていく
それにしても光秀は一体誰に拉致されたの?
信長様に仕える武将たちは、それぞれに役割分担がある。
秀吉は、信長様のお側近くに仕えてその身を守っている。
政宗さんは、戦になれば先陣をきって出陣
家康さんは、後方支援
そして、光秀は……
諜報の役割を担っていた
仲間にも極秘に行動をしている彼の仕事内容はわからない事が多くて……
本当に光秀は見つけてもらえるの?
考えたくないけど、あの日の夜が光秀との最後になってしまったら?
私はまだ光秀に何も言ってない
素直な気持ちを光秀に伝えたい
秀吉を忘れるために光秀に抱かれていた私
でも、いつの間にか光秀に惹かれていったんだ
身体を支配されていくのは私の淫らな女部分だけ
心は支配されていないって思い込んでいた
ううん、違う
__認めたくなかったんだ
光秀に女として愛されたかった
光秀は抱いてくれるけど、私自身を愛してくれない
だから、ちゃんと言おう
私は光秀に愛されたいって
光秀に愛されているならどんな行為でも受け入れるから……
私のすべてを光秀に捧げたい
だから、お願い
無事でいて
いま、私がいる時代を痛感する
ここは、平和が約束された平成じゃない
命のやり取りが日常茶飯事にある乱世の世
今日と同じ明日が来るとは限らないんだ
「光秀……会いたいよ……」
光秀の無事を祈って待つ事しか出来ないの?
懐刀を抱きながら泣いて待つしか……
「あ……」
ふと甦ってくる記憶
確か、あの時……
光秀と2人で森に散歩に出掛けた時
偶然見つけた小さな小屋
「ほう……(隠れ家にするには)良い場所だ」
小さな声で呟いていた光秀
あの時は、気にもしなかったけど
もしかしたら?
光秀がいるかもしれない
何の確証もないけど、ここで泣いて待っているなんて出来ないよ
光秀に会って私の想いを伝えないと
きっと私は後悔するから