第4章 堕ちたのは俺か?
物陰に隠れてを見ていると案の定、秀吉がやってきた。
あいつが愛する姫君と星を見るために星空の様子をみにくると思っていたが……
やはり来るとはな。
だから、と鉢合わせさせるように仕向けたのだからな(秀吉ほど単純で行動が読みやすい男は、そうそういるまい)
思わぬ所で秀吉に会えたの喜びが手に取るように分かる。
しかし、すぐにそわそわとしはじめる。
俺に抱かれた直後だから?
素直に秀吉と会えた事を喜べないのか
口数の少ないを気遣う秀吉からが一番口にしてほしくない言葉が発せられた。
「光秀と……仲良くやっているのか?」
秀吉は、の想いに気付いてはいない。
その一言がを傷つけているとはわからないだろう。
は、肯定も否定もしない。
いや、出来ないのだ。
だから俺が答えてやる
「仲良くやっているに決まっているだろう。秀吉が心配する事じゃない」
「光秀っ……」
突然現れた俺に動揺を隠しきれないを見るのは面白い。
「そうなのか? 最近、の元気がないから心配はしていたんだが」
「毎夜、激しく愛しすぎたか?」
の肩を抱き寄せ微笑んで見せると俯き、地面を見つめる。
の肩が震えているのが俺の手を通して伝わってくる。
震えているを心底、愛おしいと思う。