第1章 髪の長い男
そして、私は近辺にあった花を強引に奪った。
[へっ!?] 千切れて空気の震えたのを耳にし、男は···王子様に1000000年経ってもなる気配もしないその男は小さな悲鳴を。
可哀想な茎の途中で切られた花は、私の背中の腰辺りまで回って茎を生む。この花は茎が長いものね。
「少し待ちなさい と言っても時計の長針が動く前に終わるわ。」
[は、はぁ··]
と男が唖然としている間に、私は先程採った花の花弁をポケットに入れた。
茎を男の頭の周りに合うようにギュオッと丸め、忌々しい目蓋を1ミリメートルも開けられないよう刺は残した。
「目を閉じなさい。眼球に刺さるわよ「うん!ってえ」
力の限り作った茎冠を頭の上に華々しく、なんて冗談、目の周りに入らせた。
「っ!!!!な、ナンカちょっとイタイ···かも?」
「あら、取ってもいいのよ。刺だらけで血まみれになると思うけれど。」
「ショーのネタ探しに行ってきまーす!!」
「待ちなさい、まだ話は終わってないわ。」
と茎で目隠し状態の長髪を引き留めた。
「な、なんだい···と、というかコレで行くのかい?何も見えないんだが、何か意味でも」
「意味なんて皆無よ。楽しませて頂戴?···ね?」
私は男の髪を手で避け、耳元で洗脳する様に囁いた。
[·····!!!]
ぐっと喉を詰まらせたのか、返答は無言だった。
私は男の体からすぐ離れ、言いはなった。
「この森から出たらあなたは餌よ、飢えたライオンの。まぁ、木々が可愛らしい形の葉っぱを象をも貫くナイフに早変わりして、あなたを襲うから通れやしないわよ、きっと。」
「····!!!」
「さぁ、行きなさい。」
ーーーーーーーーーーーーーーー可笑しいショーの、始まりよ。