第2章 お暇つぶしにも
[
ーーーyーーa]
[yaxtupariwatakusinihakonohukuga....]
[....おっと、やっぱり、私にはこのお洋服がお似合いよね?]
ふふん、とおヒメ様は笑う。試着室の鏡の中は、いつもの一張羅であるドレス。カーディガンはいつの間にか手から消え去っている様で。
[えー勿体ないじゃないかっ!]
と、長髪の男は店内で叫んだ。ヒソヒソと噂話を一般客からされている。いつの間にかあぐらをかいて靴を試し履きする用の椅子に乗っかっていた。
[君もそう思うよなあ?蝶造天使クン]
ーーー男が振り返った先には、
[Q]
蝶造天使がいた。
ヒトでない様な人である様な、お人形さんみたいに、フワフワと宙に浮かんでいる様な。
とてもよく透けているが下の方になるにつれ白くなっているスカートを着用している様。透けている箇所からは、白いスクール水着の様な衣装が見え。少女の下半身が露わになっているーーが、決して厭らしくはない。
表情はわからない。ヒトの様な姿はしているけれど。顔なのかもわからない。肝心の瞳らしき物は、黒い黒い影に隠れてほぼ見えないと言ってもいい。一番近しい表現をするのならば、無表情である。
[ねぇ?蝶造天使さんよ〜折角服屋さんに来たのに、元々持ってた服にしか眼中にナイなんてえ〜って、ナナナナ何いっこの娘!?なんかガみたいなん出して来てるう!!!]
蝶造天使は、名前の通りに、マントの様な羽織りものからしゃらしゃらと蝶を出現させていた。天使はちょっと俯いていた。
[ガじゃないわ。これはれっきとした蝶よ。セセリチョウよ。]
と、おヒメは男の頭を握り潰す勢いで掴み、ガの様な蝶には目もくれずに蝶造天使に近づく。
[照れたのよ。この娘は感情がよくわかりやすいから。]
[てれっ!?蝶造天使チャンに感情なんてあったのかい!うわあっじゃあ感情のある淑女たるレディに僕はなんてことっ、、ああ僕妹君に嫌われちゃうよおぉぉお〜〜〜!!]
と、公衆の面前でおーいおいと大泣きをし始める長髪の男を見て、おヒメは苛つきがちに尖った道具を鼻先に取り出した。ーー男の。
[ーーー黙りなさい。なよなよとうざったいわね。]