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紅眼の戦姫

第1章 第1幕 第3王女ティアナ姫


ここ、ピレッチ国はフェザード大陸の一つに位置する食べ物が豊富で有名な国。お隣のルーン国とは友好関係にある。そのピレッチ国の第3王女である私、ティアナ・マンデラは今日も今日とて元気である。第3王女だから上に後二人いるのだが、私と違って優秀かつ綺麗な姉さん達はとっくに他の国の王子(叉は国王)に嫁いで行った。残るはこの私だけなのだが…なんせ私は勉強、習い事が嫌いでおまけにダンスも下手。それに生まれつきの赤い目のお陰か、父親にも嫌われている。母様と第1王子のキース兄さんは私を可愛がってくれているが。

「姫様ー!姫様どこですー?これから勉強の時間ですのよー?」

遠くからお世話役のソフィアの声が響いてくる。まあ、こんな事はいつものこと。そして私が城から脱走するのもいつものこと。

「勉強なんてやってられないっての」

廊下の窓から身を乗り出して下を見る。下には誰もいない。窓から飛び降り、木を使ってスルスルと地上に降りる。普通の姫にはこんなことは出来ないが私には出来る。

「チョロいチョロいー今日は何しに行こうかなー」

庭園を抜けて壁沿いを走っていると目の前にサッと人影が現れる。毎度、私の脱走を妨げる奴は一人しかいない…

「姫さん、また脱走かー?まあ、捕まえるけど」

「ススキ…またなの?少しは主人の言う事聞いて欲しいけどなー」

ススキ・バーティア。私の側近で脱走を妨げる唯一の人物。体格は兵士より劣るもののしっかりとした体つきで身のこなしも上手い。こいつが私の側近になってから脱走するのが一苦労なのだ。

「聞いてるだろー」

「聞いてないわよ!脱走させてくれないじゃない!」

「…普通の姫さんならそんな事言わないんだろうな」

「私はそんじょそこらの姫とは違うのよー」

互いに苦笑いを浮かべながら対峙する。壁を登って越えるか?ススキを交わして裏門から出るか?…二つとも却下だ。壁は高くて登れないしススキとまともにやったらこっちが負ける。ならば…

「逃げるっきゃないでしょ!」

「げっ!!」

踵を返して来た道を戻る。逃げ道ならまだいくらでもある。庭園を抜けて降りてきた木を通り過ぎて表門についた。表門には兵士が当然立っているがお構いなし。

「姫様、また脱走ですか?」

「好きですねー」
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