第1章 その1
「マイコごめん、俺それ平気なの」
ガーン!!!
なに!?そんな人この世にいるんだ!?
渉の新しい一面が見れてこれはこれで嬉しい気もするけど、
作戦は大失敗。
もうこうなったらヤケクソ。
「んもーっ!!」
「さぁ、正攻法でがんばれマイコ」
「とりゃーーーー!!」
「おお!強い強い」
渉の胸に腕を突っ張ってぐーっと押し返す。
「わぁーめっちゃ拒絶されてるみたいで辛いわこれ」
「はーなーしーてー!」
その瞬間、第二のイタズラを思いついた私はフッと力を抜く
「うおっ」
バランスを崩した渉の首にギュッと抱き付いて
「すきあり!!」
キスしてみる。
すると、スルリと解ける腕。
したり顔で立ち上がる私、
そして
「ちょーぉっ…と…」
とか言いながら、手で顔を覆って
後ろのソファーにだらーんともたれかかる渉。
「…ふっふっふ、照れた?」
「いや、反則でしょ〜これは」
照れてるね。
「ふん、今度からこの手が有効だ」
「え?捕まえたら毎回マイコからチューしてくれるってこと?」
「あ!やめてくださーい 不純な動機でマイコを捕獲しないでくださーい
絶滅危惧種なんでー」
「大丈夫。国立渉保護区に置いてあげる」
「何それ!笑」
ニヤニヤする渉に追いかけられながら、洗濯物を取りに行く。
手伝ってくれるの?なんて言いながら
わざと捕まるために、私はまた 渉に背を向けた。
ーおわりー