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Re・Birth【気象系BL小説】

第26章 petrichor


三人のじいさんと別れて、潤と智の家に向かって歩き出した。

「あ。かずくん、コンビニ…」
「なんだよ…コンビニで何買うんだよ」
「…くりすます…」
「え?」
「くりすますけーき、ほしい」
「はあ?」

今日は23日…
クリスマスイブは明日だ。

「ははーん…さてはパーティやりたいんだな?おまえ…」
「うんっ!くりすますしたい!」
「もお…明日、Gravityでやるって言ってんだろ?」

人の話聞いてないんだから…

「あで」
「ほら、だから今日はパーティしないの。いいね」
「えー…」
「翼も和音も来るんだよ?翔だけじゃあ、お留守番な?」
「あーっ…わおんちゃんっあいたいっ」
「もお…じゃあ、今日はおとなしくしてろよ?」
「はあい…」

二人で相合い傘をしながら、ゆっくりと歩いた。

「翔、足、痛くない?」
「うん。だいじょうぶ」

しとしと降る雨は、教会の森の緑を鮮やかに…
雨のカーテンは、俺たちを優しく包んだ。

「ここ…きれいだね。翔」
「うん。きれい」

また、傘のお礼に来るのが楽しみになった。

潤と智の家についたら、雅紀も遊びに来てた。
なんか今日は仕事だったらしく、スーツ着てた。

不思議なじいさんたちの話をしたら、大いに潤と智が盛り上がった。

なんでもavidの生き残りだったらしい。
まったくわからなかった…

ああ…だから、智と潤に似てるって思ったのか。

俄然、雅紀まで盛り上がってきて、今度みんなで神田のレコード屋に行ってみようって話になった。

俺たちが盛り上がってるから、翔もはしゃいで…

すごく、楽しそうにしてた。



「あーあ…翔、寝ちゃったよ…」
「おーい潤、毛布ない?」
「あるよー。ほい、智」
「ああ、ごめんな。サンキュー…」
「むにゃあ…けーき…」



無邪気な翔の寝顔を眺めながら、俺たちはいつまでも話し込んだ。


俺たちを夢中にさせる、遠い昔のバンドの話に花を咲かせながら。




いつまでも…いつまでも…




【END】
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