第24章 特別短編 和也と翔
「なにきいてるですか?」
「ん?翔も聴く?」
そう言ってヘッドホンを外して翔につけてやった。
実は翔もこの曲が大好きなんだ。
「あ…むふ…」
怒り顔からたちまち笑顔に変わる。
俺の胸に凭れながら、トントンと指でリズムを取っている。
顔だけじゃなくて…声まで翔とショウはそっくりで。
もしかして、なんか血のつながりとかあるのかな…
「さて…朝飯の準備するよ」
翔はヘッドホンをつけたまま俺を見上げた。
「かずくん…」
「え?」
「だっこ」
無心に俺を見上げる。
「ああ…おいで…?」
ぎゅうっと抱きしめると、胸になにかこみ上げてくる。
「愛してるよ…翔…」
「うん…あいしてる…かずくん…」
出会った頃から、何も変わらない。
翔が好きだ
そして、愛している
何年経っても、変わらない。
「かずくん、こーひーぎゅうにゅうのみたい」
「おう。じゃあ作ってやるよ」
「わーい!」
翔…俺はおまえがいるだけで、しあわせだよ。
おまえにとって、俺も…そういう存在ならいいな…
休みの一日、俺達の部屋に流れている音楽はあの曲。
avidの”life”
「ほら、翔。こぼすなよ」
「はあい!かずくんありがとう!」
俺は食後のコーヒー、翔はコーヒー牛乳を飲みながらいつまでもその曲を聴いていた。
ショウって人も…
こんなに愛おしい、キラキラとした生活を送っていたんだろうか…
「かずくんおいしい!」
「おー。よかったな。ちょっとずつ飲むんだぞ?」
「あーい!」
これが、俺達のライフ
「さんぽいきたい!」
「おし、じゃあ着替えろ!競争だ!」
「まけない!」
END