第24章 特別短編 和也と翔
「あ、これavidの曲だ…」
テレビから流れる音楽。
アレンジはしてあるけど、これは確か…
12枚目のアルバムに入っていた曲かな。
ベッドに寝転びながら、目を閉じて曲を聴いた。
隣に眠る翔は、すやすやと眠ってる。
最近やっとベッドを買い替えて、ダブルサイズのベッドにした。
広々と寝られるのに、俺たちはシングルベッドのときと変わらずぎゅうぎゅうとくっついて眠っていた。
朝の光がカーテンの間から入ってきてる。
「翔?そろそろ起きるぞ」
「んー…」
抱きついたまま翔は離れない。
「うおーい」
「にゃ…」
そっと翔の髪を撫でるとベッドを抜け出した。
隣の部屋に置いてあるavidのCDやレコードを漁る。
「あった」
12枚目のアルバム。
通しで聴いてみたんだけど、なんかこのアルバムだけ音が違う気がする。
温かいような…懐かしいような…
卓にCDをセットしてヘッドホンでその曲を聴いてみる。
ピアノの旋律と、ボーカルのショウの声…
たったそれだけ。
ラップがあるわけでも、他の楽器の音が入るわけでもない。
このピアノを弾いてる人は誰なんだろう。
クレジットには何もかいていない。