第4章 truth
それから一ヶ月、翔は俺の預りになった。
どこかの支援施設に預けてもよかったんだけど、そうさせたくなかった。
日に日に、翔と一緒にいるのが自然になってくる。
あたりまえになってくる。
なんでかわからないけど、昔から翔と一緒に暮らしていたような気持ちになっていた。
親父の力で、どうにか監護権はうちで取ることができそうだった。
翔には身内がいないから、血縁でない俺たちにお鉢が回ってきたカタチだ。
行方不明になったとき、届けをだした恵和がもうないから、うちで面倒みることもすんなりと許された。
担当は、俺。
俺自身が希望して、翔と一緒にいる。
親父には珍しいこともあるもんだと、からかわれた。
いつも音楽以外のことはめんどくさそうにやってるから、回りもびっくりした。
どんぐりまで、俺のことヘンな目で見やがる…
犬のくせに…
「おら、翔!いくぞ!」
「ううー…」
「ううじゃねえの。おら、お前の仕事くれるっつってんだぞ?いくぞ?」
今日から翔はおれのとこで働くことになった。
石井先生と俺とで、年少クラスをみることになったのだ。
「どんぐりも待ってるから、いくぞ?」
そういうと、しぶしぶ靴を履きだした。