第3章 fact
「俺が拾ってきたんだから、俺が面倒見るよ」
「お前じゃ無理だよ」
「なんでだよ!?」
「お前、障害者と暮らしたことあんの?面倒見たことあんの?ガキの面倒すらみたことないのに、できるわけねえんだよ」
冷たく言うと、雅紀は黙りこんだ。
「なあ…その地下クラブって…その…」
潤が申し訳なさそうにこちらに顔を向けた。
「その…あれなの?少年愛とか同性愛とかそっち系のおじさんのクラブなの?」
「ああ…多分、そんなとこだろうね。翔の身体、縛られたような痕ついてるし、ケツの穴切れてるし…」
「マジかよ…」
智の眉が八の字に下がった。
「とんでもない目に遭ってたんだね…」
智がぽつりとつぶやくと、部屋には沈黙が落ちた。
「だから…落ち着くまではDJ休むから…よろしくな…」
「あ、ああ…こっちのことは心配すんなよ…」
「和は腕がいいんだから、復帰したらすぐだって…」
潤と智はにっこり笑いかけてくれた。
「ありがとな…」
雅紀は情けない顔して立ってる。
「雅紀…悪かったな」
「いや…こっちこそ…ごめん…」
そう言って、床に座り込んだ。
「俺もできるだけのことは、させてもらうから…」
雨は、まだ降り続いている。
【fact end】