第19章 特別短編 あの日から…
「潤、どう?」
「うん、順調」
春が来て、俺は手術を受けた。
あれほど力の入れることが難しかった足は、すんなり動くようになった。
今はリハビリが終わって退院してきたばかりで、身体を慣らしているところ。
今日は日曜だから、智もリハビリの散歩につきあってくれてる。
「…ねえ…その杖…」
「あ?なんだよ」
「いや…いいんだけどさ…」
智も和也も、この杖をみると微妙な顔をする。
なんで?
イカしてんじゃん…なんだろこの唐草模様みたいなの?
それにこのメタルなボディ。
すげーかっこいいじゃん。
散歩しているうちに、長い塀の続く通りにでた。
「そういえば、ここってなんだろうね?」
「あー…越してきてから碌に散策もしてないしわからないや」
「ちょっと行ってみる?」
「行ってみようか」
ゆっくりと歩いて行くと、そこは教会のようだった。
「わ…なんか本格的な教会なんだね…」
「そうだね…なんか古いけどちゃんと手入れも行き届いてて…」
そんなことを言っていたら、今日は葬儀があったらしく黒い車が中に吸い込まれていった。
何気なく見つめていると、中から白い棺が出てきた。
回りにいる人は皆、白い花を持っていた。