第18章 特別短編 秀明
「ごめん…俺、ちょっと用事思い出した…帰るわ…」
高校1年の夏休みだった。
友人たちと集まって、遊んでいるときにアダルトなビデオを見ようって事になった。
俺はあの事件から性的なものを意識して避けていたから、そういうものは一切見たことがなかった。
でもこのまま、避けては通れないことなんじゃないかってこともなんとなくわかってて。
友人の家でそれを見ようと決心した。
決心したって大げさだけど、あの時の俺にはそのくらいの心境だったんだ。
友人たちとビデオを見始めて、15分で気分が悪くなった。
性行為がトラウマになったとかそういうことじゃない。
女性の体が気持ち悪かったんだ。
俺は逃げるように家に帰ってきた。
その時、何故か強烈にあの安藤という警官に強姦されたときのことを鮮明に思い出した。
今まで記憶の片隅に追いやっていたことだったのに、なぜかはっきりとあいつが入ってくるところまで思い出せた。
知らず知らずのうちに、俺は自慰を始めてた。
あのおっさんの体臭や、入ってきた時の苦しさを思い出しながら、俺は耽った。
『なあ…秀明、気持ちいいだろ…?』
おっさんの声まで、はっきりと思い出した。
その瞬間、俺はイってしまった。