第15章 hope
病院に着くと、救急の窓口に行く。
名前を告げると、手術室を案内された。
「手術…」
足早に手術室の集まる入り口まで行くと、そこには雅紀と由美さんが居た。
「あ…大野さん…」
由美さんがこちらに気づくと、雅紀も顔を上げた。
泣きはらした顔をしている。
「雅紀くん…」
「和のお父さん…」
「どうなんだ…その…」
「全身…傷だらけで…ひどい状態です…」
由美さんが立ちあがってお父さんに頭を下げた。
「小出さんですね。私も医師から話を聞きましたので…」
そういって待合室の中にお父さんを連れて行った。
「さとしぃ…」
雅紀は俺の顔をみて泣きだした。
「かず…自分で逃げようとして…安藤殺そうとした…」
「え…?」
「翔、ごめんな…和、無事に戻してやれなかった…ごめん…」
そう言って、翔にしがみついたまま床に崩れ落ちた。
「まさきくん…」
「ごめん…翔、ごめん…」
翔は雅紀を覆うようにしゃがみこんだ。
「なかないで…?まさきくん…」
そっと雅紀を包み込むと、翔はそのまま動かなくなった。
どこか、遠いところを見ているようだった。
雅紀の嗚咽が、廊下に響いた。
俺はどうすることもできずに、ただ二人を見つめていた。