第14章 burn
カチカチカチカチ……
時計の、音。
チカチカ光るテレビの明かり。
気怠い身体をベッドに横たえながら、目でどこに何があるのか確認する。
小さなガスボンベ。
殺虫剤のスプレー。
酒のボトル。
十徳ナイフ。
タバコ。
ライター。
電熱器のコード。
サバイバルナイフ。
細めのワイヤー。
ドライバー。
垂木。
シャーペン。
ボールペン。
武器になりそうなもの、全て物色する。
安藤は警官だ。
腕力じゃ絶対かなわない。
だけど、俺の命と引き換えならどうだ?
勝てるんじゃないか。
だから俺は芝居をした。
安藤のアレに夢中になってる振りをした。
シャブ中だからか、安藤はころっと騙された。
俺の身体に夢中になってる。
お蔭で隙が生まれた。
その隙を利用して、俺は安藤を殺す計画を頭で練っている。
そう…
殺してやる。
警察に捕まえさせるなんて悠長なこと、言ってらんねえ。
その前に翔が殺されたらどうするんだ。
俺は死んだって構わない。
翔を守るんだ。
そう、決めた。
「おい…和也…」
安藤が起き上がって、また俺を貪ろうとする。
「ねえ…シャワー浴びたいよ…だめ?」
「ああ…こっちだ…」
焦点の合わない目で、ふらふらと俺の腕を引きながら安藤は歩く。
もう少し。もうちょっとだ…