第13章 these
「あああっ…ぐっうううっ…」
安藤が俺の中にめり込むように入っている。
俺は動けなかった。
「二宮…お前のこと、とことん翔の代わりにしてやるよ」
ゆっくりと後ろから俺の足を開くと、俺の中心を握りこんだ。
萎えている俺を握りこむと、安藤は下卑た笑いを浮かべた。
もう、どれだけそうやって過ごしていただろうか…
安藤は薬をやっている時に、必ず俺の体を弄ぶ。
シャブのせいで、安藤の性欲は尽きることを知らない。
毎日毎日、安藤は俺を求めた。
もう死を覚悟している人間のそれだった。
何度も逃げようとした。
でも安藤に殴られ続けている身体ではそれは叶わず。
毎日犯されて、食事も与えられず。
俺は衰弱していった。
動けなくなった頃に、やっと食事を与えられる。
そうして動けるようになると、また俺は犯された。
もう身体の感覚はあまりない。
でも俺もイかないとセックスは終わらないから、無理やりイくようにした。
翔を思い浮かべながら。
翔のことを考えていたから、なんとか正常でいられた。
翔のことを考えているから、俺は殺されずに済んだ。
カチカチカチカチ……
時計の、音。
チカチカ光るテレビの明かり。
この世界は、これだけだった。
【these end】