第13章 these
俺たちは美樹さんの携帯に連絡した。
でも繋がらない。
由美さんも美穂さんにも電話したがつながらない。
安藤に手こずっているんだろう。
そうこうしているうちに、臭いが俺達にもわかるようになってきた。
どこか、燃えている。
「雅紀、どうする…」
「でもここは開けるなって言われてる」
「そうだけど…」
外を伺うと、うっすらと倉庫内に煙が流れているように感じた。
「雅紀っ…煙が来てる…ヤバイぜ…」
「美樹さんたちは電話でないのかよ…」
「ああ…だめだな…」
リダイヤルし続けているけど、彼女らは出ない。
「かずくん…」
「ん、大丈夫だよ、翔。絶対に俺から離れるなよ?」
「うん」
雅紀は翼をぎゅっと抱きしめている。
そのうちはっきりと倉庫内が白くなってきた。
焦げ臭いにおいは増々濃くなる。
「タオル、口に当てろ」
翔にタオルを渡すと、素直に口に当てた。
「いいか、とっちゃダメだぞ」
こくりと頷くと、俺にもタオルをしろと渡してくる。
「ありがとな。翔…」
ぎゅっと手を握ると、翔は頷いた。
「雅紀、出るぞ」
「ああ…ここに居たんじゃ、どのみち死ぬな」
そう言ってタオルを口に巻いた。
翼の口にもタオルを巻いて、翼を抱え上げた。