第12章 dark
目を開けると、見慣れない天井だった。
「なんだぁ…?」
ああ、そうか。ここは隠れ家だ。
ベッドから降りると、テーブルに置いてあるパイプを手に取る。
朝から一発決め込んでやる。
なにも、上手くいかない。
翔も手に入らない。
金が無いと、シャブが買えない。
残り少なくなってきた。
緑山会に支払う金の期限は、明日だ。
今まで金を待ってもらう代わりに、警察内部の情報を売って凌いできた。
この前松本をひき逃げしたことが報道されたから、自宅にも戻れないし、もちろん警察にも戻れない。
もう渡す情報も尽きた。
ガクガクと身体が震えてくる。
シャブが効いてきた。
目の前が明るくなる。
きゅうっと頭に血が通う。
「ははははは…はははは…」
大丈夫だ。俺はできる。俺ならできる。
あの時だって大丈夫だったじゃないか。
だから警官に復帰できる。
ひき逃げしたのは俺じゃないってとぼけてやればいい。
秀明を強姦した時だって上手く行ったじゃないか。
「秀明…くそ…」
アイツ…裏切った上に、パソコンまで根こそぎ持って行きやがって…
アレはどこ行ったんだ…?
相葉が持って行ったのか。あの探偵…
忌々しい探偵が持って行ったのか。