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Re・Birth【気象系BL小説】

第10章 stream


翔がそっと俺の腕を掴んだ。
和が翼を支えてくれた。

「さ、いこ…?雅紀…」
「まさくんいこー?」

なんだよ…おまえら…
触んなよ…
出てくんだろ…

翔が俺にハンカチを差し出した。
俺はそれを受け取って、目に当てた。

そのまま、何も見えない。

翔に腕を引っ張られて、俺は歩いた。

全員でよろよろしながら歩く様は、さぞ滑稽だったろう。

でも、それがあの時の俺達で。
あの時の俺達は傷だらけで。
誰一人、無事な奴なんて居なくて。
しかも女性に守られてて。
情けなくて。
でもどうにもできなくて。


「え…?ええええっ…」

和の驚く声が車内に響く。

「し、CIA?」
「はい…」
「美穂さんは…CIAに居たんですか…?」
「本当は言ってはいけないことになってますから、黙っておいてくださいね?」
「い、いやだってそんな信じられない…」
「ですよねー!こんなおばさんが…」
「美穂さん…答えにくいこと言わないでくださいよ…」

由美さんがフォローを入れる。

「私は元々アメリカ生まれなんです。美樹さんもそうです」
「えっ…じゃあ美樹さんも…?」
「まあ、機関は違いますが。アメリカ国内で同じような活動をしていました」

FBIかよ…ドラマでしか見たことないけど…
多分そうだよな…?

「ですから…そんな人間に警護されてるんです。情けなく思わないでください。安藤は警察の人間で、しかも麻薬中毒です。
ためらいなく…人を殺します。
だから…相葉さん、二宮さん。気をしっかり持って下さい」

運転する美穂さんの背中を見たら、少し気持ちがほぐれた。

「はい…」


ぎゅっと俺の胸にしがみつく翼の肩を引き寄せた。
目を閉じたら、秀明の笑顔が見えた気がした。



【stream end】
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