第9章 captive
「風呂入るの?」
「あ、うん…中で出しちゃったから…腹痛くなると思って…」
「…アンタ、ゲイ?」
「えっ…まあ…」
「ふーん…」
そいつは黙って風呂に入って、湯を出してくれた。
「じゃあ頼むよ。そこら辺のもの、使っていいから」
そういうと風呂場の扉を閉めた。
翼は眠ったまま起きない。
中を掻きだす道具があったから、それを使って掻きだした。
ついでに身体も軽く洗って、風呂から上がった。
脱衣場にバスタオルが置いてあったからそれを使って翼を拭いた。
自分も拭いて、部屋に戻ると、さっきの若いのが座り込んでた。
翼をベッドに寝かせると、バスタオルを腰に巻いたまま、床に座った。
「あの…」
「くいもん、持ってきた」
ゴトリとスーパーの袋が目の前に置かれた。
「あんた…一体…」
「俺はタキザワ。こいつの世話係」
「世話係?」
「今日から、あんたの世話係でもあるか…」
そう言って、くっくと笑った。
小原先輩も相当綺麗な顔だけど、こいつも斬れるような美しい顔をしていた。
「なに見てんだよ…」
「いや…別に…」