第9章 captive
「にーちゃ…」
ぺちぺちとほっぺたを叩かれてる。
誰だ…?
眠い…頭が痛い。
もっと寝かせろよ…
「にーちゃ、おきて」
煩いなあ…
目を開けると、薄ぼんやりと明るい部屋に寝転がっていた。
「……?」
起き上がると、隣に少年が座っている。
「誰…?」
「にーちゃ、おきた!」
「え…?」
もしかしてこいつ、翔みたいな知的障害あんの?
部屋を見渡すと、家具もなんにもない。
フローリングには、落書きをした画用紙が散乱している。
部屋の奥に、ダブルサイズのベッドが置いてある。
反対側にはドアがあって、そこは閉まっていた。
立ちあがってドアを開けると、廊下がある。
ちらりとその少年を見ると、ニコニコしてこちらをみている。
部屋を出ると、玄関らしきドアがある。
試しに鍵を開けてノブを捻るが、開かなかった。
溜息をついて廊下を戻ってさっきの部屋に行く。
どうやら、拉致されたらしい。
警察に捕まったことといい、訳がわからない。
相葉グループの次男坊であるから、いつかはこんなことがあるかもしれないと親から言われていたけど…
まさかこんな形でこの時がくるとは思わなかった。