第8章 tower
「なんか…おかしくない?」
智が由美さんに話しかける。
「なんでここまで俺たちの情報持ってるのに、潤を車で轢いたの?」
「え…?」
「なんか行動がおかしいよ…」
智がいうと、由美さんも頷いた。
「そうですね…行動に一貫性がないですよね…」
「もし俺たちをおびき出そうとしてるなら、潤を轢いた時がチャンスだったはずなのに」
そうだ…
あの混乱した状況なら、翔を狙ってるなら…
俺をなぎ倒して奪うことだってできたはずだ。
なんで…?
「わかりません。確かなことは、今、相葉さんは安藤の手中にあるってことですね…」
「人質ってことは…ねえ、由美さん」
「はい」
「雅紀のこと人質にしてるってことは、こっちになんらかの要求してくるってことだよね?」
「和也…お前…」
「きっと翔をよこせって要求してくるよね?」
「二宮さん…いけません」
「だって…そしたら雅紀こっちに返してもらえるだろ?」
「和也っ!」
「翔には…俺がついていくから…」
翔を見ると、怯えた目で俺の服を掴んでいる。
「大丈夫…俺も一緒にいくから…」
「だめです。二宮さん」
由美さんが厳しい声を出した。
「松本さんは命をとりとめましたが、死んでいてもおかしくなかった。相葉さんも命の保証はありません…
あなたも、殺されますよ?」
【tower end】