第7章 Kozmic Blues
翔は世田谷の家を動こうとせず、雅紀はそこに通い詰めだった。
俺と潤は、そんな雅紀をみているしかなかった。
雅紀は、翔に友情以上の感情を持っていた。
それは誰にも止められないことだけど、でも俺達にはそれが不毛にも見えた。
ガオは一人、独自の調査を続けてた。
翔が戻ってくることを願っていたのは、誰よりも強く願っていたのはガオだった。
ガオは翔の音楽センスを高く評価してた。
まだ硬い蕾だった才能が、やっと和也によって花開いたと喜んでいた矢先の事件に、ガオは心底怒っていた。
あんなに怒ったガオを見たのは初めてだった。
そして、泣きじゃくるガオをみたのも、あれが最初で最後だった。
翔がそんな状態でも、時間だけは刻々と過ぎていく。
和也の行方はいつまで経ってもわからなかった。
和也が見つからないまま、あのアルバムは、大ヒットを記録した。
でも、俺達は顔を晒すのはやめた。
翔が、和也が戻ってきていないから。
和也が戻ってきたら、正式にバンドのメンバーとして迎え入れて、そしてちゃんとツアーもやろう、とガオが言った。
翔は、そんなガオの提案に薄く笑うだけだった。
日々は過ぎていく。
俺達の回りも、だんだん流れていく。