第7章 Kozmic Blues
…それからの翔は、まるで魂が抜けたようだった…
警察は頼りにならない…
ベッドの上で翔はそう言い切った。
和也と暮らす経緯を聞いていた俺たちは、そうだろうと納得した。
翔は頭を殴られており、誘拐事件と傷害事件と両面で捜査は行われているはずだった。
でも、何の成果もなかった。
それどころか、報道すらされなかった。
ガオが探偵なんかを使って、色々調べた。
でも、アイツの行方はわからなくなってた。
多分、海外にいったんじゃないかってことだった。
そして、和也の行方も…
結局わからなかったんだ。
あの時、和也がいなくなったことを、知らせた瞬間、翔の耳に異変が起こった。
音が聞こえなくなったのだ。
幸い、それは一時的なものだったが、医者によるとストレスからくるものだということだった。
それから時々、翔は耳が聞こえなくなった。
和也の件で、大きなストレスを受けた時、それは起こった。
俺たちはでも、和也さえ見つかればと思っていた。
翔はきっと戻ってくるって。
翔は魂を和也に預けたまま、身体だけが生きてる状態で。
だんだん食べ物も食べなくなって、やせ細って。
雅紀が、なにくれとなく面倒見て、なんとか生きてるって状態だった。