第7章 Kozmic Blues
でも「RISE」であって、「RISE」ではない。
でも「RISE」なんだ…
不思議な時間だった。
みんな、動きを止めて曲に聴き入っていた。
俺のラップ部分になったら、和也が顔をあげた。
「しょうさんっ!」
歌えという。
いきいきと楽しそうな顔で。
俺はマイクを持って、セリフを叫び始めた。
智がギターを鳴らした。
潤がそこにtripをぶっこんできた。
雅紀も慌ててドラムの前に座って、探り探り音を出し始めた。
ガオがブースの外で、ハンドマイクを手に取ったのが見えた。
ガオの伸びやかでハスキーな声がブースに響きだした。
一種、異様なトランス状態に俺たちは陥った。
それほど和也のピアノから聴こえる音は新鮮で。
俺達の曲が生まれ変わったようだった。
曲が終わったら、高柳さんが拍手した。
他のスタッフも俺たちに拍手してくれた。
でも俺達は和也に駆け寄って、和也を抱きしめた。
この日、和也は俺達の仲間になった。
無限の可能性が和也の中に眠ってると、誰もが思った。
和也はもみくちゃにされながら、それでも頬を紅潮させ、俺に抱きついてきた。
「しょうさんっ!たのしかった!」
高柳さんがブースマイクで俺たちに叫んだ。
『お前ら、その子捕まえとけよ!新生avidの誕生だぞ!』