第7章 Kozmic Blues
和也が呆然とした顔をしてた。
そうだろうなぁ…
あんまり聞いたことのない曲だろうからな。
ピアノの前にいながら、指をひとつ動かすわけでもなく。
呆然とした顔で俺たちの音楽を聞いていた。
俺のラップの部分でやっと顔を上げて、俺を見た。
曲が終わってみると、久しぶりで散々の出来だった。
これはデビューする前に作った曲だから、1番演奏してるはずなのに。
「おら、おめーら。だらしねーぞ」
ガオが言い捨てて、ブースを出て行った。
「すまん…」
智がぼそっといって、ギターのチューニングを直したり、他のギターを手に取ってる。
雅紀は汗を拭いて、スポドリ飲んでる。
潤は機械の下に入り込んで配線をいじってる。
和也はずっと下を向いている。
大きなガラスの向こうをみたら、プロデューサーの高柳さんが来てた。
今日はそこまでの話じゃなかったんだけど、足を運んでくれたようだった。
あいさつに行こうと足を向けたその時。
和也のいるブースからピアノの音が聞こえ始めた。
それは「RISE」だった。