第7章 Kozmic Blues
この後、潤とガオが一緒にやってきて、二人で和也をこねくりまわしてた。
和也は、きゃっきゃ言いながらふたりに撫でられてた。
なんかとてもリラックスしていて、会うのが二回目とは思えない雰囲気だった。
潤が徐ろにブースに入っていって、台の電源を入れた。
和也はまたガラスに貼り付いて、それを見守る。
潤が機器の電源を入れると、そこはまるで潤の電子の城で。
いろんな機材に囲まれた潤は、そこの帝王に見えた。
潤はDJで、このバンドの要。
俺達の音楽を全て操っている。
俺とガオはボーカルで、このバンドの顔ってわけだ。
雅紀はドラムで、このバンドの屋台骨。
あれ?もう一人、きてねぇな…
大野…
「ガオ、智は?」
「しらない」
「…ここにいる」
「うわっ…」
「さっきからここにいるっつーの…」
「ごめん智…」
智は、ギター。
俺達と同じフロントマンなのに、まったく目立とうとしない。
…いや、普段は正直、どこにいるのかわからないくらい存在感を消す。
「ま、いいや…和也、よろしくね」
和也に向かって手を差し伸ばして、ふにゃんと笑う。
「よろしくおねがいしますっ」
和也が手を握る。
すると、和也がにゃって笑った。
「えっ!?」
あの顔は、俺にしかしないと思ってたから、びっくりした。