第7章 Kozmic Blues
スタジオは本当に俺にとって居心地のいい場所で。
大きなガラスの向こうには、俺達の戦場があって。
大きなマイク、ドラムブース、色とりどりの楽器。
その中に入って、マイクを持って歌ってる瞬間が1番、気持ちいい。
乱雑に置かれたイスに座って、リリックを皆で練りなおしているときは時間を忘れる。
ソファに座りながら、レコーディングの様子を思い出してると、ワクワクしてくる。
和也が目を覚まして、俺の顔を覗き込んだ。
「和也、ブースで遊んでおいで」
そういうと、少し躊躇していたが立ちあがった。
潤が、和也をレコーディングブースの中に連れて行って、一緒に遊んでくれた。
潤は、とても心の温かいやつで。
さっきの話をきいて、泣いてくれるような男で。
和也が懐くのも、時間の問題だろうと思う。
「翔…」
「ん?」
ガオがまた、タバコに火をつけた。
「小出のジジイに聞いたよ?」
「…ああ…」
「なに企んでるの?」
「いや…」
「あんたが金欲しいって言うなんて、おかしいじゃん」
ガオは俺んちが、金を持っていることは知ってる。
本当に必要なら、そこから金を引き出すことができることも。
「なんか、考えてんでしょ?」