第2章 One Good Man
かずなりくんが気持ちいいなんていうから、俺はヘンな気分になった。
まるで女の子みたいな顔してるんだから…
救急箱を片付けてたら、後ろから抱きつかれた。
「しょうさん、すき」
「ありがとう。かずなりくん」
そういって、頭をぽんぽん撫でた。
なんてことはない。
この子は単純に俺に対する好意を表してるだけなんだ。
受け流すのが一番だ。
片付け終わって振り返ると、かずなりくんは泣いていた。
「もう、かえりますか?」
「まだ…帰らないよ?」
そういったら、にっこり笑った。
「よかった。うれしい」
今度は俺の胸に飛び込んできた。
「このままいっしょにいたいです」
なに…言ってんだ…
「だめだよ?かずなりくん…かずなりくんにはお仕事あるでしょ?」
「あ…そうでした…」
「かずなりくんがお仕事しないと、困るひとがいるよ?」
「はい。おしごとします」
ほっとした。
真に受けたわけじゃないけど…
どうかなりそうだった。
「櫻井さん…和也くんどうですか?」
先生が入ってきて、助かった。
「ああ。こんなもんでいいと思いますよ」
先生はかずなりくんの顔をみて、噴き出しそうになってた。
そらそうだ。
パンダみたいな模様がついてるもんな…