第6章 Piece of My Heart
「櫻井さん…これは真剣な話ですけど…」
「あ…はい…」
「和也くんに親類はいません。天涯孤独です。だからあの男に付け狙われてるんです」
「え…」
「最後まで戦える身内がいないから」
「そんな…」
「だから、私達が守らなきゃならないんです。一緒に…戦ってくださいますか?」
「もちろん」
先生はにっこり笑った。
「この何ヶ月かで、櫻井さんが和也くんのことずっと守ってくれると、私は思えました…どうか、お願いします。和也くんを…」
先生は頭を下げた。
「幸せにしてあげて下さい」
「顔を上げて下さい…先生…」
「法的なことは、私が全部クリアにしますから…後は、和也くんの人生を…どうか…」
先生は言葉に詰まった。
和也が立ちあがって、先生の隣に座ると、先生の肩を抱きしめた。
先生はびっくりして顔を上げた。
「せんせぇ…泣かないで…?」
「和也くん…」
「せんせぇ、だいすき」
ぎゅっと和也は先生に抱きついた。
「ありがとう…和也くん…」
先生も和也をぎゅっと抱きしめた。
俺よりも、この二人は長く過ごしてる。
計り知れない絆がある。
嫉妬しないといったら嘘になるけど…
でも、和也にこの先生がいてよかったと心の底から思った。