第5章 Down on me
「和也っ…翔だよっ…ホラっ…」
看護師の前に立って、テーブルを押さえる。
「あぁーっ…あぁーっ…しょおっ…しょおっ…」
ガタンっとすごい音を立てて、テーブルを落とした。
「しょおっ…しょおおおっ…」
両手を伸ばして、その場に崩れ落ちた。
「すいませんっ…看護師さん…一旦部屋から出てっ…俺がいいって言うまで入らないで下さいっ…」
看護師が舌打ちをした。
「知恵遅れが…」
小さな声で言ったのが耳に入った。
カっとなった。
捕まえて殴り倒してやろうかと思った。
でも、今は和也が先だ。
「和也っ…」
和也に駆け寄って、抱き寄せた。
「ああああっ…しょおっ…しょおっ…」
めちゃくちゃな力で俺に抱きついてきた。
「ごめんな…ごめん…一人にして…」
「ああう…ああう…しょう…こわいっ…」
「え…?」
「こわいっ…おにいさん、ぼくにいたいことするっ…こわいっ…」
「和也っ…落ち着けっ…」
「いたいのに、やめてくれないっ血がでるのにっ…やめてくれませんっ…」
「和也っ…」
ぎゅっと抱きしめても和也の身体の震えは止まらなかった。