第5章 Down on me
「でも…」
「現実問題として…先生、もう限界でしょう?」
先生は唇を噛んだ。
だいぶ痩せた。
「俺なら、大丈夫です。…ただ、法的なこととか全部後回しにしてもいいでしょうか?今の和也の保護者は先生みたいなもんだし…」
「ええ…それは…かまいません…むしろ…私ではダメですね…」
「え?」
「和也くんはあなたじゃないと…救えない…」
そうストレートに言うと、先生は泣いた。
「あなたが、和也くんを愛してくれているのはよくわかりました…だから…あの子をお願いします…」
深々と頭を下げる背中が、少しさみしそうだった。
交代した先生が帰ると、かずなりが目を覚ました。
口をきくのも俺だけで…
事件のことは、一切わからなかった。
「しょうさん…」
両手を伸ばす。
「ん。和也、今日はちょっと起きようか?」
和也はベッドに伏せたままで、動こうとしなかった。
身体の傷は治りつつあるから、身体を動かさないといけないと医師から言われていた。
「やっ…だっこ…」
やっぱり拒否された。
仕方ないから、ベッドに入って和也を抱き寄せる。
ぎゅうっと抱きしめると、和也は俺の胸にしがみつく。