第5章 Down on me
それから一週間が過ぎた。
和也は、俺と先生以外接することができなかった。
男性でも女性でも看護師や医師、それに警官が近づくと泣いて暴れた。
ときにはてんかんの発作も起こした。
とにかくめちゃくちゃだった。
ご飯も俺の手からしか食べない。
俺と先生は交代でずっと和也に付き添った。
バイトも辞めてしまった。
今はただ、和也を癒やしたい。
傍にいたかった。
夜は俺が付き添い、昼は先生が付き添った。
先生も仕事があるはずなのに…
他の職員と仕事を分けて、なんとか時間の都合をつけている。
和也の世話をできるのが、俺達しかいなかったからしょうがなかった。
「櫻井さん、お疲れなら休んでくださいね」
先生はそういうけど、先生のほうが疲れきってた。
仕事と和也とご家庭がある。
いっぺんに抱え込んでる先生をみていると、こちらが苦しくなってくる。
「先生…もうちょっと和也が落ち着いたらでいいんですが…」
夕方、先生と俺の引き継ぎの時、話をした。
「俺、和也を引き取ります。一緒に暮らします」
「櫻井さん…」
「俺、あと2ヶ月程仕事休みなんです。だから、その間に和也くんを…立ち直らせたい」