第5章 Down on me
ぎりっと歯を噛み締めて、叫び出したい衝動を堪えた。
泣いちゃいけない。
辛かったのは和也だ。
俺じゃない。
でも止まらなかった。
嗚咽が喉から漏れた。
子供の頃以来だ。
堪えようとすればするほど、喉の奥から熱い塊が湧いてくる。
「くっ…うっ…う…」
ごめん…和也…ごめん…
ソファに突っ伏した。
声を上げないよう、ソファに顔を押し付けた。
熱い塊は消えない。
涙が溢れて止らない。
ごめん…
和也…
「しょう…」
ベッドから和也の声が聞こえる。
見上げると、和也がこちらに向かって手を差し伸べていた。
「和也…」
ソファからなんとか立ちあがって、その手を握る。
「しょう…なかない…で…」
朦朧としながら、それでも俺を気遣う。
「かずなりっ…」
声を出してしまったら、もう止まらなくなった。
「ごめんっ…ごめんなっ…俺のせいだ…!」
和也の手に涙が落ちる。
足に力が入らなくなって、和也のベッドの横に跪いた。
「ごめん…俺のせいで…ごめん…和也…」
「ちあう…しょうさんのせい…ちがう…」
か細い声が聴こえても、俺の慟哭は止まらなかった。