第5章 Down on me
和也が泣きつかれて眠るまで、俺は傍を離れることができなかった。
先生も俺も、和也が眠ってしまったら、何も喋れないほど疲れきっていた。
「なんで…和也くんがこんなことに…」
「すいません…俺が目を離したばっかりに…」
「いいえ…櫻井さんは悪くないです…」
それきり、俺達は黙りこんでしまった。
時計の音だけが、病室に響いてる。
警官が病室に来た。
今日は一人だけここに泊まれるとのことだったので、俺が泊まると申し出た。
警察の手前、俺は施設の職員ということになっていたので、すんなりと許可がでた。
「すいません…こんなことお願いして…でも和也くん、櫻井さんじゃないとダメみたいだから…」
「いえ、先生がダメだと言っても俺、残ってたと思うんで…」
少しだけ先生は微笑んだ。
泣きはらした目で、俺をまっすぐ見た。
「よろしく…お願いします…」
そう言って、深々と頭を下げて帰っていった。
その後、簡易ベッドと毛布を持ってきてくれたので、和也のベッドのすぐ横に置いた。
でも眠れなかったから、ソファに沈み込んだ。
ベッドの上の和也は、青白い顔をしている。
細くなった手首…そこに残る痣…
絶対…
絶対にゆるさない…