第20章 THE ROSE
”誰かはいう 愛は鋭い刃みたい”
結局、ガオが白根の何処に眠っているのかは聞けなかった。
表情を消して、風間は俺を見送った。
それ以上は、絶対に立ち入らせないと言っているようだった。
風間とガオは、孤児院のころからの付き合いだとは聞いていた。
俺と知り合う前に、一体何があったのかは聞くことはなかったが…
あの時…
何もかもが終わった後、ガオの生涯を少し調べさせてもらった。
その生涯には、暗い影が落ちていたことを知った。
そして、その影に…ぴったりと風間は寄り添っていたんだ。
だから、今でも風間は一人なんだろう
だから、俺も…今でも一人なんだ
神田の駅前でCDショップを見つけた。
風間の店で聴いたあの曲を思い出し、早速アルバムを2枚購入した。
ジャニス・ジョプリンとベッド・ミドラーのものだ。
家に帰って、CDを聴く。
風間の店で聴いた音とは、また、違って聴こえた。
目を閉じていると、あの頃のことがしきりに思い出されて…
涙が滲んだ
”ある朝 あなたは
歌いながら立ち上がる
翼を大きく広げ 空に飛び立つ”
サマータイムのジャニスの歌声は、悲しいくらいガオの姿と重なった。
そうか…似ているのは声じゃなくて…