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ROSE【気象系BL小説】

第20章 THE ROSE


風間は立ち上がってレコードを探し出して、レコードプレイヤーの前に立った。

今かかっているレコードを取り出すと、俺の方を見た。

「これは、そのジャニスの人生を模した映画の主題歌だったものだ。ベッド・ミドラーが歌ってる」

そう言ってセットして、静かに針を置いた。

「あ…聞いたことある」
「そうだろ?今でもドラマの主題歌やらなにやらに使われる曲だ」

その声は、しゃがれてもいないし、ジャニスよりも澄んでいて、柔らかく繊細に感じた。

「細すぎやしないか?」
「そうか?俺にはガオの声はこんな風に聞こえてたよ」

この曲は「THE ROSE」というタイトルだということを教えてもらって、俺は店を後にした。

また来てよ、と風間は笑って言ってくれた。

「そう言えば…」

店を出る間際、風間は呟いた。

「翔が死んだ時…小原さんは傍に居たのか?」
「え…?」
「いや…ちょっと気になってね…多分俺、直前に翔と電話で喋ってて…」
「なにを…」
「榎本を殺したのは小出さんだって…聞いた」
「ああ…」

今でも…

あの光景を夢に見ることがある。

ベッドの上で横たわる、色のない櫻井さんの姿
そしてそれを抱きかかえる和也くんの姿

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