• テキストサイズ

ROSE【気象系BL小説】

第20章 THE ROSE


「…懐かしいねぇ…」

その瞳は、どこか遠くを見つめた。

「白根は入山禁止になっちまったからなあ…」
「え?白根?」
「ああ…小原さん知らなかったか」

いたずらっこのように笑った。

「小出さんには話してたから、てっきり小原さんも知ってるのかと思ってた」

そう言ってメガネを上げた。

「ガオは、白根に眠ってる」
「え…?」
「だから、墓にはガオはいないんだ」
「眠ってるって…」
「…まあ、それ以上は…」

曖昧に笑って、風間もコーヒーを飲んだ。

店内には、しゃがれた声の女性シンガーのレコードが流れていて。
哀愁を帯びた旋律が、なんだか時間の流れを余計に感じさせた。

「ずっと…ここで商売を?」
「そうだね。翔が死んでから足を洗って…それからはここの跡継ぎっていうかね…」
「なんで…」

そう問うと、風間は今までのことを語ってくれた。

「よく…無事に足を洗えたね…」
「まあ…松岡組長のお陰でね…ほんと、あの人には世話になった…」
「いくら正式な構成員じゃなかったとはいえ…制裁なしなんて…」
「ああ…だから、俺はラッキーだったんだと思う」

また、目を細めて笑った。

/ 420ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp