第17章 Pearl
和也の症状は、一向によくならなかった。
時々熱で意識を失った。
なにか他の病気があるんじゃないかと、いろいろ検査してみたが、取り立てて悪いところはなかった。
潤と俺は交代で病室に詰めた。
侑李の時のことが、まだ忘れられない。
じっと待っているしかないけど、和也の傍に居てやりたかった。
一週間が過ぎて、やっと熱が下がった。
和也はやはり栄養失調を起こしていて、何本も点滴を打たれた。
ご飯を食べないから、抵抗力が弱っているとの事だった。
しかし、食べないものはどうにもできない。
熱が下がると、病院を追い出されるように出された。
これ以上の治療は難しいと言われた。
ご飯を食べないことについては、通院で指導すると言われて。
通院ごとに点滴を打つとのことだった。
「毎日通えってことですか…」
「いいえ…和也くんの体調のいい時で…」
体調なんか悪いに決まってる。
でもこの病院では、これ以上入院できないとのことだった。
「悪いところがないので…」
医師はそう言って言葉を濁した。
栄養点滴しか打たない患者は、早くだしてしまう病院があると聞いたことがある。
病院の点数稼ぎにならないから。
背中を冷たいものが通って行った。