第17章 Pearl
次の日、和也は意識を取り戻した。
ベッドの上で、ぼんやりと天井を見ている。
「和也、りんごジュース飲む?」
売店で買ってきたジュースを差し出すけど、首を横に振った。
「和也…これ飲まないと、またチクンだよ?」
和也の手には点滴がついてる。
夜中に看護師が来て、中身を取り替えていったのが、まだ残ってる。
「これ、増やされるぞ?」
脅しで言ってみたけど、和也は微笑んで答えなかった。
朝食の時間になって、和也のご飯が出てきたけど、それも口をつけなかった。
「食べてよ…和也」
スプーンを持って、口元に近づけるけどぼんやりとしたまま食べなかった。
「だめだな…」
潤が溜息をつくと、和也がこちらを見上げる。
「ごめなさい…」
「和也?」
珍しく、俺達に話しかけた。
「かみさま、いきたい…」
「え?初詣行ったところ?」
こくりと頷くと、またぼんやりした顔に戻った。
「和也…」
「わかったよ…元気になったらいこうな?」
また頷くと、和也は目を閉じた。
規則正しい寝息が聞こえてくると、潤は椅子に座った。
「明治神宮だろ…?何の用があるんだろ…」
「さあ…」