第17章 Pearl
「いやっ…しょうさんみないでっ…」
宙に向かって必死で叫ぶ。
「落ち着け!翔は居ない!死んだんだ!」
「いやっ…みちゃだめっ…」
急に和也の身体から力が抜けた。
「和也っ…!」
潤が和也の身体をなんとか受け止めた。
和也は気を失ってしまった。
緊急入院することになった。
医師の見立てでは、和也は栄養失調を起こしているんではないかということだった。
気を失った和也から血液を採取して、看護師と医師は病室を出て行った。
「参ったな…注射器のこと、覚えてたんだな…」
潤がベッドサイドの椅子に座って、頭を掻きむしった。
「そうだよね…すっかり頭から抜け落ちてたけど、和也もしかして見てたのかもね…」
「ああ…そうだな…」
潤の目に涙が光る。
「潤…」
そっと肩を抱くと、俺の腕に手を当てる。
「智…俺、どうしていいのかわからないよ…」
「うん…」
「和也を、幸せにしてやりたいよ…」
「そうだね…」
「翔やガオの代わりに、一杯幸せになってほしいよ…」
「うん…」
「だけど…雅紀にも早く元気になってほしいよ…」
「潤…」
「翔のこと、殺したのは雅紀なのに…」
潤の目から、涙がこぼれ落ちた。