第17章 Pearl
「さあ、行くよ」
和也の手を引いて電車に乗り込む。
電車はすぐに明治神宮駅についた。
たくさんの人でごった返していた。
和也の手を引きながら、参道をゆっくりと歩いた。
ずっと身体を動かして居なかったから、和也はだいぶ疲れていた。
「お参りしたら、タクシーで帰ろうか」
和也は微笑むと、前を見た。
「…かみさま…」
「ん…行こうな。お願い、考えておけよ?」
参道はたくさんの人で埋め尽くされていた。
俺たちは邪魔にならないよう、参道の端っこを歩いた。
前を歩く親子連れが、ゆっくりと歩いていて助かった。
子供がちょこちょこと前を歩く。
抱っこしようとすると泣いて暴れるから、若い親は困ってすぐにおろしてしまう。
結局、子供が望む通り歩かせるしかないらしい。
和也はそれを見て、微笑んでいる。
子供が振り返って、俺達に手を振る。
手を振り返すと、何度も何度も手を振る。
「エンドレスだな…おい…」
仕方ないから、ずっと手を振り返してやった。
両親は俺にぺこぺこ頭を下げる。
気にしないでと、手で合図すると、更に頭を下げる。
そんなに卑屈にならなくていいのに…