第4章 Half Moon
公園まで、手を繋いで歩く。
「和也、なにして遊ぶ?」
「しょうさんとかくれんぼ」
「お前…二人でやって楽しいか?」
「うう…ブランコ…」
「おし、背中押してやる」
「ほんと?」
「うん。あ、和也。ノートと鉛筆持ってる?」
「あい」
「じゃあソレ貸して?」
「はぁい」
手を繋いで歩いているのに、誰も俺たちを振り返らない。
そうだよな…
見た目でわかるもんな。
障害児とその保護者か兄弟ってとこか…
世間にはそう見えるだろうな。
ま、都合いいけどね。
公然と好きなヤツと手をつなげるんだもん。
ぎゅっと手を握ると、和也は俺を見上げる。
ビー玉が一層最近、透明になってきた。
「和也」
「はぁい」
「好きだよ」
みるみる顔が真っ赤になっていく。
「ぼくも」
最近の和也は、知能がどんどん上がっているらしい。
もしかして俺といるからかな。
それとも…
完全に健常になることは難しいだろうけど、もう少し生きやすくできないかと俺は思ってる。
そのためにも。
和也と一緒に暮らしたい…
和也と一緒に過ごしたいと思ってる。