第4章 Half Moon
公園についたら、ベンチでノートと鉛筆を借りた。
「和也、ちょっとだけ待ってて」
「はぁい」
「あ、ブランコ乗っておいでよ」
「てつぼうします」
「うん。行っておいで」
「いってきまーす」
かばんを置いて、和也は駈け出した。
暫く見てると、鉄棒にぶらさがったまま動かない。
腕力がたりないのか…
真っ赤な顔をして、逆上がりをしようとしているが、登れない。
苦笑いしながらそれを見て、ノートに集中した。
沸き起こってきたリリックをノートに書き留めていく。
韻は後で考えよう。
今はとりあえず沸き起こった言葉を書きとどめて…
鉛筆をすべらせていくうちに、音楽まで降ってきた。
専ら、リリックだけを担当しているが、近いうちに作曲にも手をだせるかもしれない。
メロディー部分の歌詞も書けるかも。
そしたら一曲書けるなあ…
ボーカルは無理でも、やってみたいな…
4年目の挑戦として。
色々考えながらノートに向かった。
気がついたら、辺りが少し薄暗くなってた。
「あれ…?和也?」
ふと鉄棒をみると、和也がいない。
公園を見回しても、どこにも和也は居なかった。
「和也ーっ!」
呼びかけても返事はない。
背中に、冷たい汗が流れた。