第16章 The Last Time
電話が切れて、部屋に静寂が戻った。
振り返ると、和也がベッドに起き上がって俺を見ていた。
「和也…」
「しょうさんっ…」
和也が駆け寄ってきて、俺に抱きついた。
「しょうさんいるっ…!」
嬉しそうに叫んで、ぎゅうっと抱きついた。
「いかないで…もういかないで…」
「うん…わかった…いかないから…」
和也のぬくもりを感じながら、小出さんの顔が頭から離れなかった。
無表情で、榎本を撃った。
顔は見えなかったけど、榎本が倒れこむのが見えた。
そのまま動かなくなったのも目の端に捉えた。
和也が落ち着いてから、食事をとった。
味がしなかったけど、とにかく食べなきゃと思った。
小出さんが、守ってくれた。
俺たちを。
そう思った。
食事をしながらぽろぽろと涙が溢れてきて。
止まらなかった。
なんにもわからなかったけど、小出さんの言葉を思い出していた。
『お前らは、俺の子供だよ』
優しく微笑みながら、いつもいうそのセリフ。
小出さんはガオの敵討ちをしたんだ。
自分の子供のガオを殺した相手を、殺したんだ。
それだけは、わかった。