第16章 The Last Time
時間を確認して、潤に電話を掛けた。
『もしもし…』
日本は朝方だろうか…
潤が眠そうな声で出た。
「潤、悪い。俺だ」
『翔?どうしたの』
「小出さん、そっちにいるか?」
『いや…昨日からロスのはずだよ?会ってないの?』
「会ってない…」
やっぱりこっちに来てた…
…やっぱり小出さんだった…
『翔?どうしたの…?』
「小出さんが…榎本を撃った…」
『えっ!?』
「わからない…俺もなにが起こってるのか…わからないんだ…」
『ちょ、ちょと智っ…』
電話の向こうでガサガサ音がする。
『翔!?翔なんだね。何があったの?』
智が叫んでる。
「智ぃ…」
小出さんに一番なついていたのは智だった。
智は父親が居ない。
だから小出さんのこと、実の父親のように慕っていた。
「ごめん…」
なんで…こんなことになったのか…
俺が殺す予定だったのに…
『なに謝ってんだよ…小出さんがどうしたの?』
声に焦りがある。
「わからないんだ…明日、全部わかると思うから…」
また連絡する、と言おうとしたら智が叫んだ。
『そっち行くから!』