第16章 The Last Time
振り返った瞬間、小原と翼の顔が見えた。
二人は俺を床に押し倒した。
バタバタと足音が聞こえたかと思ったら、榎本のうめき声が聞こえた。
顔をあげたら、小出さんが立っていた。
「小出さ…」
声をかけた瞬間、小出さんの持っていた銃から、大きな音が出た。
「いくぞっ…!」
小原と翼に抱えられて、部屋を出た。
「小出さ…小出さんは!?」
「いいから…いくぞ!」
押し寄せる人の波をかき分けて、俺達は外に出た。
翼の車に押し込められて、俺達はそこを後にした。
なにがどうなっているのかわからなかった。
混乱していた。
「な…んで…?なんで…?」
問いかけても二人は答えてくれない。
車は和也の眠るホテルに到着した。
「詳しいことは明日話すから。とにかくホテルの人に、お前がここにいること印象づけて」
そういうと、小原と翼はまた車を走らせていった。
言われた通り、フロントで食事を注文してから部屋に帰った。
部屋にはいると、まだ和也は眠っていて。
寝顔をみたらほっとして、力が抜けた。
ルームサービスが届いて、やっと我に返った。
なんで…なんで小出さんがここにいるんだ…